家づくりブログHino Architectural Design
2025.01.12
日野建築設計/日野誠
初めてのブログの書き込みでいきなりニッチな内容ですみませんが、12月にお引渡しさせていただいた家があり、施主様の引っ越し後初めて、つまり空調の本格稼働後初めて、伺った際に新たな発見があったのでまとめてみました。
私としては予想外のことに驚いたのと、それに対する対策を考えただけです。施主様に対して否定的な意見を言っているわけではないので、そのように見ていただけると幸いです。
玄関引戸を開けるときに、高性能住宅特有の圧倒的な温かさを期待していたのですが、あれ?室温がかなり低い。U値0.3+床下エアコンなので断熱性能不足ということは無いのにおかしいなと思い、床下エアコンの設定温度を聞いてみると、なんと18℃。通常は24℃以上ですので、かなり低いです。
室温は19.7℃でしたので、感じたよりは高いですが、高性能住宅の室内は24℃程度になっていることが多いので、相当低い温度だと思います。
施主様にその理由を伺うと、「庭に出る機会が多いので、一枚上着を着れば外に出られるようにしている。あと、犬は毛皮を着ているようなものなので、それに合わせて」とのことでした。
確かに、私は全身防寒着の現場仕様で伺ったのですが、それでも丁度良い温度だと感じました。やはり室温が低すぎるのか?
ですが、冷静に考えると、免疫力の低下など低温障害は18℃を超えていれば起こらないとされているし、燃費ナビの冬の設定温度も20℃です…。
そうか、19.7℃なら良いじゃないか。24℃くらいにして長袖シャツ一枚でヌクヌクと暮らすための高性能住宅と思っていましたが、今回の施主様のような暮らし方もアリだと思いました。ある意味究極のエコかもしれません。
ただ改善点もあります。湿度と床の表面温度です。どちらも施主様も改善したいと仰っていますし、私もそう思います。
まず、湿度は40%(絶対湿度は6g弱)なので、「ASHRAE standard 55」の快適ゾーンにわずかに足りません。これはシンプルに加湿器を使っていただくしかないと思います。ただ、ダクト式3種換気なので普通なら30%程度しか無いはずですが、そこは工夫が効いているようです。「洗濯物の部屋干し」と「リビングに戻す浴室換気扇」は結構有効なようです。
そして床の表面温度、こちらも何とかしたい、足裏が冷たく感じるのはいただけない。足裏の中立温度は26℃、出来ればそれに近づけたい。しかし床下エアコンの設定温度は18℃、エアコンに手をかざしてもわずかにぬるい風が出ているだけです。空調としての暖房はこれ以上出来ないけれど、床下空間だけは温度を上げたい…。
その時、ふと思い出したことがあります。床下エアコンに取り組み始めた頃、見よう見まねでやってみて上手くいかなかった。床下だけ温まって、1階の室温がさっぱり上がらなかったあの状況。今回はあれに近い状況にすると上手くいくのではないか?
なら話は簡単だ、床ガラリの開口面積を絞れば良いだけだ。近々施主様と相談して試してみようと思います。
こんな感じで、私のブログは設計者・施工者としての私の考え方・感じ方を発信していければと思っていますので、よろしくお願いいたします。